
何かについて学ぶとき、それは本当に必要なものなのか、今後も活用する技術なのか、実務の中で役に立つのか…
そんな不安を抱えながら学習を続けていませんか?
私がフロントエンド初学者の頃、ビギナー向けの技術書を端から買っては読んでいました。
それもブックオフで安くなっている3年以上前に発行された中古書籍を。
今になって考えるととても効率の悪い学習の仕方でした。
その理由は、主に下記の3点です。
- Web系だと1年以上前の情報はすでに古く、学ぶ必要のない技術が多い
- 細かな技術情報や、レアケースの対応方法まで紹介されている
- 実務で必要になったときに調べれば十分な情報ばかり
特に1の「古い情報」のインプットに時間を費やす事はとても無駄です。
これは書籍に限ったことではありません。
Web上、特に技術ブログなどで紹介されている情報の中には古いものが多いです。
参考にする前にその情報の鮮度を気にすることが大切です。
今回の記事では、あえてすでに学ぶ必要のない技術を紹介していきます。
どれも一時はフロントエンド開発現場でトレンドとなっていたものです。
技術選定の参考にしてください。
ただ誤解しないでいただきたいのは、古くなり使われなくなった技術だからといって悪いものだったというわけではありません。
長年お世話になった技術もあれば、時代とともに淘汰されたものもあり、そのどれも開発者の苦労の上に生まれたものでした。
「オワコン」などと侮蔑するのではなく、フロントエンドの歴史の中で一つの到達点を迎え役目を終えた功労者として紹介します。
また、中には現在も開発が続いているものもあり、もしかしたらまた日の目を見るときもあるかもしれません。
ソフトウェア系
主にAdobeが提供してるソフトウェア中心ですが、Webデザインソフトのデファクトスタンダードも移り変わりがあります。
それなりに学習コストも高いので、とりあえずFigmaかPhotoshopの2択にしておいたほうが無難ですね。
Adobe Dreamweaver
学ぶ必要ない度 : ★★★★☆
Webデザイン・コーディングのためのソフトウェアで、HTMLやCSSなどの高機能エディター+GUI(デザイン画面)を操作しながらページを作成できます。
現在でも開発・提供は続いていますが、本業でフロントエンドをやってる人で使っている人はほぼ皆無です。
Adobe Fireworks
学ぶ必要ない度 : ★★★★★
Webデザインに特化したソフトウェアです。すでに開発・提供は止まっており、かつてはそんなものがあったな程度の扱いです。
Fireworksというワードが出てきてもスルーして構いません。
Adobe XD
学ぶ必要ない度 : ★☆☆☆☆
Adobeが類似デザインツール「Figma」を買収した後、メンテナンスモードとなりました。
とはいえ多くのユーザーは健在ですので、この先も目にする機会は多いでしょう。
ただ、これから新しくデザインツールを取り入れるとしたら、FigmaかPhotoshopの2択になると思います。
Adobe Flash
学ぶ必要ない度 : ★★★☆☆
10数年前までは動きのあるウェブサイトといったらFlash一択でした。iPhoneがFlashをサポートしなかったことで、一気に廃れてしまいましたね。
後継ソフトとしてAdobe Animateがあり、HTML5として書き出しができるので複雑なWebアニメーションなど特殊な案件で今でも稀に用います。
ただ、どちらにせよ昔ほど必要ではなくなったのであえて初学者が学ぶ必要はありません。
ActionScript
学ぶ必要ない度 : ★★★★☆
上記で説明したFlashで用いられるプログラミング言語です。平たく言えばFlash用のJavaScriptです。
Adobe Animateで凝ったものを作る必要がなければそうそう触れる機会はありません。
アプリ開発でも使えますが、初学者のうちに必要になることはないでしょう。
ちなみにAS3などと表記されるものもActionScriptの一種です。
タスクランナー/ビルドツール系
Web構築に必要な処理を自動で行ってくれるツールはトレンドの移り変わりが激しいです。
一つ一つの学習コストはそこまで高くないのですが、一度制作環境を作るとそれに依存した過去の制作物を今後管理していく必要があるので、なるべくなら今後も長く使われるツールを取り入れていきたいです。
Grunt
学ぶ必要ない度 : ★★★★☆
処理を自動化するツールの一つで、CSSファイルやJSファイルを1つにまとめて圧縮したりコンパイルしたりする処理に役立ちます。
現在ではnpmの機能が充実してきたので、Gruntはあまり使われなくなりました。ちなみに人気を二分したGulpも落ち目です。出来る限りnpm scriptで代替していく方が良いでしょう。
とはいえ私の作業環境ではGulpは現役です。
Bower
学ぶ必要ない度 : ★★★☆☆
Web制作に必要なJavascriptライブラリやCSSライブラリを自動で手軽に一式ダウンロードできるパッケージマネージャーです。
Yarn、npmのパッケージも充実したことにより、新しいプロジェクトであえてBowerを採用する理由は無くなり、Bowerの利用率は徐々に下がっています。
Compass
学ぶ必要ない度 : ★★★★★
CSSを便利に記述することが出来るSASS(SCSS)を更に便利に使えるフレームワークです。
すでに開発も止まっており、Compassの優位性もあまりなくなっています。
個人的にはお世話になっていたので愛着があります。
JavaScript周り
一昔前まではJavaScriptはとてもやっかいな言語で、ブラウザごとに書き方が違ったり、冗長な記述が必要だったりしていました。
そのため簡潔にわかりやすく扱えるようにする沢山のライブラリ・フレームワークが登場しました。
今ではJavaScriptの進化により必要なくなったものも多いです。
jQuery
学ぶ必要ない度 : ★★☆☆☆
お世話になった実績で言えば間違いなくNo.1のjQuery。
JavaScriptの進化によりjQueryの恩恵が減ってきました。
実際にはまだまだ現場で活躍していくとは思いますが、このままだと間違いなくフェードアウトしていくものです。
学習コストを割くのであれば素のJavaScriptやReactにすべきだと考えます。
jQuery Mobile/jQuery UI
学ぶ必要ない度 : ★★★★★
Webサイトをモバイル対応にできるjQuery Mobile。さまざまなユーザーインターフェイスを簡単に実装できる機能を提供してくれるjQuery UI。
どちらもjQueryに依存するプラグインでしたが、すでに開発は止まっており、代替のライブラリもたくさんあるのでわざわざ使う必要はありません。
CoffeeScript
学ぶ必要ない度 : ★★★★☆
JavaScriptを簡潔な文法で記述できるようにするプログラミング言語です。コンパイルすることによってJavaScriptが生成されます。いわゆるAltJS(代替JavaScript言語)の一種ですね。
個人的にも気に入って使っていたのですが、TypeScriptが全盛の今、CofeeScriptで書くのは余計ややこしくなりますのであえて使うことはなくなりました。
Backbone.js
学ぶ必要ない度 : ★★★☆☆
中〜大規模なJavaScriptプロジェクトを整理して使いやすくするフレームワークの一つ。
古くからあり、今現在も使っている人はいるものの、ReactやVueが人気の今あえてBackbone.jsを選定する必要はないでしょう。
RequireJS
学ぶ必要ない度 : ★★★★☆
JavaScriptの開発時にファイル分割してコード管理を楽に出来るという、今では当たり前の環境を提供するJavaScriptフレームワーク。
JavaScriptの進化やWebpackの台頭により使われる機会が減りました。
prototype.js
学ぶ必要ない度 : ★★★★★
さすがに今現在使っている人はいないと思いますが、たまに目にするので念の為。
JavaScriptを扱いやすくするライブラリです。現在は必要ありません。
その他
MovableType
学ぶ必要ない度 : ★★☆☆☆
2010年代ではWordPressと人気を二分していた日本製のCMSです。
まだまだ現役で開発されてますが、今では圧倒的にWordPressのユーザー数が多いので、初学者はMovableTypeを選定しない方が無難でしょう。
Google トレンドを活用しよう
新しい技術を取り入れたり学ぼうと思ったときにおすすめのツールがGoogleトレンドです。
今どんなキーワードが多く検索されているのか、特定のキーワードの人気度を調べることができる無料ツールです。
取り入れようとしている技術を検索すると、まだまだ現役で流行中なのか、すでに廃れてきているかなどの参考になります。
まとめ
という事で、初学者になるべく効率の良いフロントエンド学習をしていただければという想いから色々と書き連ねてきました。
とは言っても、何を隠そう上記の8割位は私自身が今まで取り入れてきて、そして今では使わなくなってしまった技術たちです。
とても効率の悪いやり方だったなと反省する一方、実はそこまで後悔はしていないのが正直なところです。
なぜなら、その全てが今につながってくるからです。
すべてが無駄なわけではなく、そこで得た知識や情報はどこで役に立つか分からないものです。
たとえばActionScriptを学んだおかげで、TypeScriptのような型付き言語の学習障壁が低かったり、jQueryに慣れ親しんだおかげでDOM操作が好きになったり。
ですので、一番良いのはなるべく柔軟に色々なものにアンテナを張りつつ、自分にあったものを選択していくことなのかなと思っております。